Manualサプリメント活用実践マニュアル

心理&人間関係編

【第2回】患者様の心理的安全を保つための3つのチェックポイント

人が変化できない理由とは

『相手を理解する力』を高め、患者様に『幸せな影響力』を与える為の具体的な方法を順番にご紹介致しますが、その前に、それをうまく現場で活用し、患者様から信頼を得て、患者様の行動に変化をもたらす重要なポイントからお伝えしていきます。

まずは、サプリメントを患者様に勧める場面で、考えていきましょう。

お医者様が患者様にサプリメントを勧め、それが患者様の手に渡り、実際に患者様がサプリメントを飲み始めるまでに、患者様はいくつかの新しい変化を経験します。

例えば、その新しい変化とは

  • 今まで購入したことがないサプリメントを、新たに購入するという変化
  • 今まで飲んだことがないサプリメントを、新たに飲むという変化
  • 今まで飲む習慣がなかったサプリメントを、飲み続けるという変化

などです。

人間には「安心領域」というものがあるので、基本的に新しいことや変化を嫌うという特徴があります。

例えば、何か新しいものが目の前に現れた時、「面倒くさい」「今まで通りでいいや」「うまくいくか心配」という反応が現れ、新しいものを受け入れなかったり、変化を嫌ったりします。

多くの人は、新しい一歩を踏み出せば、人生は切り開けることを認識していますが、なかなか新しい一歩を踏み出すことは難しいことなのです。

生物において、その内部環境を一定に保ち続けようとする性質を「ホメオスタシス」といいますが、人が変化を嫌う理由はこのホメオスタシス(恒常性)による影響の為だと言われています。

しかし、一方で変化を起こし、チャレンジしていく人も存在します。
不安や恐怖を乗り越えて新しい変化を起こせる人と、変化を起こせない人の違いはなんでしょうか。

それは、『セキュアベース』がしっかりしているかどうかの違いにあります。

『セキュアベース』とは『心の安全基地』と呼ばれるもので、人に安心感をもたらす『心の拠り所』です。『心の拠り所』がないと、様々な変化やチャレンジに対して好奇心を持って挑戦することができません。

「安全基地」とは、イギリスの精神科医で、精神分析学、児童精神医学を専門とするジョン・ボウルビィの愛着理論を基に、発達心理学者のメアリー・エインスワースが提唱した概念です。

子供を思い浮かべてみてください。
子供にとって、新しい人・ものとの出会いや新たなチャレンジには、大きなエネルギーが必要となります。

しかし、不安や恐怖を感じたり、動揺した時に、いつでも安心して帰れる『心の安全基地』があるからこそ、子供は無邪気にはしゃいだり、自然体で思い切り遊んだり、新しいチャレンジをすることができます。
子供は親(主に母親)という『心の安全基地』があることで、外の世界に興味をもち、変化し、成長していくことができるのです。

同じように大人も、新しい変化やチャレンジをする時は、『心の拠り所』となる人や場所があると、変化やチャレンジがしやすくなります。

例えば
「自分を信じてくれる先生がいるから、食事制限を頑張ることができた」
「旦那様が出産に立ち会ってくれたから、初産を乗り越えられた」
「信頼できる上司がいたから、新しいプロジェクトを始めることができた」

というように、大人の場合、『心の拠り所=セキュアベース』は、家族の絆、親友の存在、仲間、職場の頼りになる人、男女のパートナーシップなどになります。
つまり、人が変化をする為には、『セキュアベース』があるかどうかが重要なポイントになります。

患者様に幸せな影響力を与え、変化を生み出すには、お医者様やスタッフ、クリニックという場所が患者様にとっての『セキュアベース』になっているということが大切です。

「守られている」「大丈夫だ」という心理的な安心感があると、新しい変化を受け入れ、新しい行動を生み出すエネルギーが湧いてきます。

これは、患者様がサプリメントを購入する場面だけでなく、食習慣やライフスタイルの改善など、新たな行動や変化を起こす場面、良い習慣を継続する場面にも大切なポイントになります。

さらに、患者様に対してだけでなく、クリニックのスタッフが新しい取り組みを始めたり、自分自身が何か新たな変化を起こしたりする際にも、重要なことでしょう。

何か良い方法や、やり方を知っていても、それを行動に繋げられないのは、『セキュアベース』という心理的安全性が欠けていることが原因であることが多いのです。

後半では、患者様にとって、お医者様が『セキュアベース』となり、心理的安全をつくる為の3つのチェックポイントについてお伝えしていきます。